富士薬品

特別編 おすすめレシピの隠し味

① 季節のレシピ篇

帝京平成大学薬学部教授 金子希代子 先生(写真左)
株式会社フォーラル 管理栄養士 孰賀佳冬 先生(写真右)

2024年2月にて全35回で最終回を迎える「おすすめレシピ」。2021年6月に開始し、総レシピ数35種類になりました。そこで監修を務めていただいた金子希代子先生(帝京平成大学薬学部教授)と孰賀佳冬先生(株式会社フォーラル 管理栄養士)に、おすすめレシピ制作の舞台裏を振り返っていただいた特別編を全3回にわたってお送りします。

金子先生

こんなにたくさんの方にご覧いただき嬉しいです。

孰賀先生

驚きました。嬉しい結果です。

金子先生

私は3年前まで帝京大学薬学部臨床分析学研究室にて食品中のプリン体の測定をしていたのですが、その研究室のホームページにて、プリン体の一覧を掲載するなど発信を行ってきました。「おすすめレシピ」では、そこで測定した食材を中心に、テーマごとにレシピ開発をしていきました。

孰賀先生

 金子先生から“旬の食材”といったテーマをもらい、なるべくまだ使ったことのない食材を用いたり、ときには自分の苦手な食材にもチャレンジしながら、焼くだけの料理やただの鍋料理などのシンプルな料理にはあえてせずに、試行錯誤してレシピ開発を行いました。

金子先生

“プリン体量が少ない”はもちろんですが“エネルギーが少ない”“塩分量が少ない”“食物繊維が多い”という4つの点も考慮したレシピにしています。

「季節のレシピ」の“隠し味”

金子先生

春の「菜の花と鮭の春色グラタン」は、菜の花のプリン体量を測定してデータを持っていましたので、データのある食材を使おうと考えました。またこのシリーズの前半でお伝えしたかったことは乳製品には尿酸を排泄するたんぱく質やアミノ酸が含まれており、血清尿酸値を下げる働きがあるということです。

孰賀先生

「特製ごまだれの豚しゃぶサラダ」のヨーグルトを使った特製ごまだれや、夏の「ソイなフローズンヨーグルト」でもプレーンヨーグルトや無調整豆乳を使ってみました。

金子先生

秋にはきのこのレシピを開発しました。干ししいたけはプリン体量が多いと勘違いされがちですが、生のしいたけ1個分と干ししいたけ1個分(元の大きさは同じもの)のプリン体量は変わりません。このことをお伝えしたかったのです。干ししいたけは水分が蒸発して軽くなっているだけなので100gあたりで比較すると相対的にプリン体量が多くなってしまうことから勘違いされがちなのです。

孰賀先生

実は私はきのこが苦手で調理には苦労しました。干ししいたけは、生のしいたけとプリン体量は変わらないのですが、うま味の素となるグアニル酸が増えるため、だしに使われます。通常ですと炊き込みご飯は、塩分量が多くなってしまうのですが、塩分量の少ない炊き込みご飯を紹介したくて、うま味の出る食材として使ってみたところ、美味しくできたのが「きのこ好きさんの炊き込みご飯」でした。

金子先生

私も孰賀先生もお酒は飲まないのですが、お酒に合うレシピも開発しました。

孰賀先生

お酒を飲めないので、お酒を飲める主人にも意見をもらいながら作りました。お酒にあう「エリンギ焼き〜ねぎだれ乗っけ〜」のねぎだれや、焼き物よりも揚げ物が喜ばれそうというアドバイスをもらい冬には「揚げないシシャモフライと豆腐タルタル」を開発しました。また普段料理をされない方が作りやすいレシピを心がけました。

金子先生

シシャモは、高尿酸血症患者である知人に大好きなシシャモのプリン体量を測定して欲しいといわれたことがあってデータを持っていました。冬のレシピには他にも「3層のお寿司ケーキ」「エスニック風おせちの数の子リメイクサラダ」と、いくらや数の子などの魚卵を使ったレシピがあります。魚卵はプリン体量が多いと思っている方が多いかもしれませんがそれは誤解で、「魚卵に含まれるプリン体量は少ない」が正解です。プリン体のもとは主に核酸(DNAやRNA)で、魚卵の各粒はそれぞれが1個の細胞です。ですから100gあたりの細胞数が多いほどプリン体量は多くなります。100gあたりのプリン体量を比較すると、粒の大きい順に、いくら<とびこ<たらことなるわけです。