正確な診断と治療方針を決めるために、問診を受けます。主な内容は、発症から現在までの症状(痛風の痛みなど)や、生活習慣(食生活、飲酒、普段の運動、精神的ストレスなど)、ほかにかかっている病気(腎臓病、高血圧症、糖尿病、脂質異常症)、家族の病歴などです。
(監修)医療法人社団つばさ両国東口クリニック
理事長 大山博司 先生
尿酸値が高いと
言われた。痛風かも。
できるだけ早く医療機関を
受診しましょう。
定期検診や人間ドックで尿酸値が高いと言われたり、突然、足の親指の付け根に歩けないくらい強い痛みが起こったら、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
医師による問診
検査
定期検診や人間ドックで高尿酸血症が疑われた場合
まず血液検査と尿検査を行います。血液検査は、血液中にある尿酸の濃度(尿酸値)を調べます。「高尿酸血症」って何ですか?尿酸値が7.0mg/dLを超えていると高尿酸血症と診断されます。
尿検査では、腎臓の機能をチェックし、高尿酸血症のタイプを診断し、治療の参考にすることがあります。高尿酸血症のタイプには、尿酸を作る量が多い場合(尿酸産生過剰型)、尿からの排泄が少ない場合(尿酸排泄低下型)、便からの排泄が少ない場合(腎外排泄低下型)、それらが混ざった場合(混合型)があります。なぜ高尿酸血症になるの?
尿検査には、24時間かけて1日分のすべての尿から尿酸の量を調べる方法と、60分間の尿から調べる方法があります。検査予定日の3日前からプリン体の多い食事プリン体を多く含む食品の摂取には気をつけましょうや飲酒は控え、当日は絶食した状態で検査します。
痛風のような強い痛みが起こった場合
まずは血液検査で炎症があるかを調べます。同時に尿酸値を調べ、高尿酸血症かどうか判断されます。ただし痛風の痛みが起こっている最中や直後は尿酸値が低下している場合があるため、別の日に改めて検査を行います。
そのほかにも、炎症が起こっている関節内の液体(関節液)や、特徴的なコブが関節にできている場合に尿酸の結晶があるかを調べる検査(関節液検査、痛風結節生検)があります。また炎症が起こっている部分についてX線で骨の変化を調べたり(関節X線検査)、関節にどのくらい尿酸の結晶がたまっているか、尿酸結石はないかを調べる検査(エコー検査)もあります。
日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会 編 : 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 診断と治療社 : 72-74,95-101, 2018
高尿酸血症の
治療法は?
高尿酸血症は、生活習慣の改善と
飲み薬による治療があります。
高尿酸血症が続くと、溶けきらなくなった尿酸が結晶となります。そこで、尿酸値を下げて尿酸が体内にたまらないようにすると同時に、たまった尿酸の結晶を溶かし、痛風(痛風関節炎)や痛風腎を起こさないようにすることが治療の目標です。治療は、尿酸値の値、痛風の症状や痛風結節の有無、合併症の有無などによって決定します図1。
尿酸値7.0mg/dL〜8.0mg/dL未満
原則として生活習慣病の改善のみで尿酸値が下がるか様子をみます。飲み薬以外に尿酸値を下げる方法は?ただし痛風や痛風結節があった場合は、発作の再発を防ぐために、飲み薬も用いて尿酸値6.0mg/dL以下に維持するようにします。
尿酸値8.0mg/dL〜9.0mg/dL未満
痛風や痛風結節がなく、合併症もない場合は、生活習慣の改善のみで尿酸値が下がるか様子をみます。腎障害、尿路結石、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなど、合併症がある場合は、飲み薬を検討します。
尿酸値9.0mg/dL以上
生活習慣の改善と合わせて飲み薬を検討します。
日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会 編 : 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 診断と治療社 : 22,114-117, 2018
どのような飲み薬が
ありますか?
尿酸値を下げる飲み薬は、
2種類あります。
尿酸値を下げる薬には、大きく分けて2種類あります。尿酸を作る量を抑える薬と、体の外へ尿酸を出す量を増やす薬です。高尿酸血症のタイプによって使い分けます。なぜ高尿酸血症になるの?尿酸値を下げる飲み薬は、少量から始めて、尿酸値をみながら増量していきます。尿酸値6.0mg/dL未満に維持できる量がわかったら、その量で服用を続けます。
日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会 編 : 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 診断と治療社 : 110-113, 2018
痛風の治療法は?
痛みと炎症を抑える治療をし、再発を予防します。
まず炎症を抑えて、痛みを和らげることを目的に、抗炎症薬(主に非ステロイド性抗炎症薬)が使われます。ごく短期間に大量に服用することで炎症を抑えます。高齢であったり腎機能が低下したりしていて、抗炎症薬を使用できない場合や、抗炎症薬で十分な効果が得られなかった場合などには、副腎皮質ステロイドを使います。
痛風は、一度発作がおさまっても多くの人は、半年から2年ほどで再発します。尿酸値を継続して下げることで、たまった尿酸の結晶を溶かす必要があります。最初に適切な治療を受けずに放置すると、頻繁に再発するようになるので気をつけましょう。
痛風による症状がおさまったあとに、尿酸値を下げる薬を飲み始めます。痛風は尿酸値が高いと起こりますが、尿酸値が急に下がったときにも起こるため注意が必要です。そのため飲み薬は少量から始め、徐々に増量していきます。それでも飲み始めのころに痛風が起こることがあります。痛風が起こっても尿酸値を安定させ、再発を防ぐためにお薬は飲み続けてください。また飲み忘れにも注意し、薬を飲む時間や飲む量を守ることが大切です。飲み忘れたからといって2回分を一緒に飲むのもやめましょう。
痛風を一度経験した人は、前兆のようなものを感じることが多いようです。そのようなときに再発を予防する目的で痛風の発作に対するお薬が使われます。常に携帯しておき、前兆を感じたら1錠だけ服用します。また尿酸値を下げる薬を服用し始めるときにも、痛風が起こりやすいため、痛風の発作に対するお薬を服用する場合があります。強力に痛風の再発を抑え込む痛風の発作に対するお薬は飲みすぎると副作用があるため医師の指示に従って服用するようにしましょう。
日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会 編 : 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 診断と治療社 : 106-109, 2018