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Vol.9
尿の“アルカリ化” 〜尿酸を尿に溶けやすくする〜

【監修】医療法人社団泰山会赤坂中央クリニック
院長 日高 雄二 先生
血中の尿酸濃度を下げるためにはしっかりと水分摂取することが大切であることをご存知の方は多いと思います。さらに効率的に尿酸を尿として体外に排出するために、尿酸のアルカリ性の尿に溶けやすいという性質を利用し、尿を“アルカリ化”することも大切です。食品には、それに含まれるミネラル成分によって酸性食品とアルカリ性食品があります。健康な人の尿は弱酸性ですが、たとえばお肉やお酒を好む人は酸性に偏りがちです。では、どうしたら尿を“アルカリ化”できるのか、みていきましょう。

酸性食品とアルカリ性食品1)

食品に含まれるミネラル成分の種類によって、酸性食品とアルカリ性食品に分けることができます。肉、魚、玄米などを燃やすと、たんぱく質、脂質、炭水化物が燃えて灰が残ります。この灰には、硫黄、塩素、リンなどのミネラル成分が含まれます。これらのミネラルは、体内でそれぞれ、硫酸、塩酸、リン酸となり酸性を示すため、酸性食品といわれます。一方、野菜や果物、海藻、きのこ類は、燃やすとナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルが残ります。このようなミネラル成分を含む食品は、アルカリ性食品といわれます。

“アルカリ化”して尿酸を尿に溶けやすく1)

健康な人の尿は、pHが5〜8の間で変化しますが、通常は弱酸性に保たれています。尿酸は、酸性の尿に溶けにくく、アルカリ性の尿に溶けやすいという性質があります。高尿酸血症・痛風の方はpHが5.5以下の酸性に傾いていることが多く、尿酸が尿に溶けにくくなっているため、尿路結石などができやすくなる一因となっていると考えられます。
尿のpHは、普段の食事の内容によって左右されるので、高尿酸血症・痛風の方は、積極的にアルカリ性食品を摂取して、尿をアルカリ化することをおすすめします。
尿をアルカリ化する代表的な食品は、野菜や海藻、きのこ類です。野菜や海藻には水分も多く含まれているので尿量も多くなり、尿酸の排出量を増やしてくれるという効果も期待できます。また、ビタミンやミネラルを多く含み、低カロリーなので安心してたくさん摂取することができます。野菜に多く含まれるビタミンCには、尿酸塩を腎臓から尿へ排出する作用があるといわれています。

(尿をアルカリ化する食品と酸性化する食品)

アルカリ化のポイントと注意点1)

野菜に含まれるビタミンCは水に溶けやすく熱に弱いという性質があるので、手早く調理する必要があります。生で食べる場合は、マヨネーズやドレッシングに含まれる塩分量にも気をつける必要もあります。また果物はアルカリ性食品で尿をアルカリ化する働きがありますが、この「気になるコラム」でも以前ご紹介したとおり、果物には果糖が多く含まれており、食べすぎは血糖値の上昇やカロリー増加をまねきます。
また尿をアルカリ化しすぎると、今度はリン酸カルシウムや尿酸ナトリウムの結晶ができやすくなり結石のリスクとなるので尿のpHは6.0以上7.0未満を目標として適切にアルカリ性食品を摂取するようにしましょう。

参考文献
1) 日高雄二 : 患者のための最新医学 痛風・高尿酸血症 改訂版 高橋書店 : 152-155, 2020