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そこが知りたい高尿酸血症の気になるコラム

高尿酸血症や痛風に関する
気になるコラムをご紹介しています。
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Vol.8
サウナで尿酸値は“ととのう”のか

【監修】医療法人社団泰山会赤坂中央クリニック
院長 日高 雄二 先生
サウナと聞いて、何を思い浮かべますか。サウナ室の中にテレビがあって、水風呂があるイメージでしょうか。施設によっては、館内着があって、サウナの後に食事ができたり宿泊ができたりする場合もあります。しかし、これらは、本場の国フィンランドとは異なり、日本独自に発展していったサウナ文化です。また「ととのう」という言葉にあたるフィンランド語はなく、日本独特の表現のようです。今回は、ここまで日本に定着しているサウナについて、高尿酸血症・痛風にどのような影響があるのかをみていきましょう。

日本独自のサウナ文化1,2)

日本では1960年代に第1次サウナブームがあり、2010年代から始まった第2次サウナブームが今につづいています。サウナというと、「サウナ室」で汗をかき、冷却器で冷やされた「水風呂」に浸かり、椅子などで休憩する(「外気浴」)サイクルを数回繰り返すやり方が人気のようです。そのサイクルを繰り返すと「ととのう」という、気持ちが良くて、リラックスした状態がおとずれると言われています。そこで高尿酸血症・痛風の持病があり、サウナに興味のある方や、すでにサウナー(サウナ愛好家)の方にとって気になるのが尿酸値への影響です。

サウナで汗を流せば、尿酸値も下がる?3,4)

尿酸の約70%は腎臓を経て尿から排泄され、残りは、便や汗から排泄されます。したがって、サウナで汗を流した場合、尿酸もある程度は排泄されますが、では、尿酸値に変化はあるのでしょうか。
ある報告では、健康な大人が5分間サウナ室に入り15分間休憩するサイクルを2回繰り返した後の体の変化を調査しています。その結果、発汗のため体重が1 kg減少し、血清尿酸値が0.3mg/dL程度増加、尿の量が約半分になり、尿として排泄される尿酸も30%程度減少したとのことです。これらの変化は脱水の影響によるものと考えられ、血中尿酸値はあまり上昇していないことから、サウナの尿酸値への影響は少ないと考察されています。

※ 詳細はこちら なぜ高尿酸血症になるの?

サウナで“ととのった”後にビールなどのアルコール飲料を飲む方も多いのではないでしょうか。この報告では、サウナ後のビール摂取についても調査を行っています。その結果、体重あたり10mL/kg(体重70kgで700mL:350mLの缶ビール2本相当)を飲むと、血中尿酸値が1mg/dL程度増加することが明らかになっています。サウナ後のビール摂取は運動後のそれと同じように血中尿酸値を増加させ、痛風発作のリスクを高める可能性があります。

サウナに入る場合は、必ず水分の補給を十分に行い、1日の総尿量が2 L以上になるように水分を摂るようにしましょう。尿酸を排出する目的でサウナに入ることはおすすめしません。もちろん、サウナ後にビールを飲むときには、十分に気をつけましょう。こちらの記事もぜひご参考ください。

参考文献
1) タナカカツキ:サ道 ととのいの果てに PARCO出版:021, 048-053, 064-065, 2022
2) こばやしあやな:クリエイティブサウナの国ニッポン 学芸出版社:13-22, 114, 2021
3) 日高雄二 : 患者のための最新医学 痛風・高尿酸血症 改訂版 高橋書店 : 180, 2020
4) 山本徹也 Medical Practice 21 (8) 1385, 2004