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高尿酸血症や痛風に関する
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Vol.1
温泉と痛風

温泉と痛風のアイキャッチ画像
日々、さまざまな仕事に忙殺され、医療現場で休む間もなく働いている皆様。
分かっていても、なかなか休みをとれない……となるとストレスも溜まっていってしまいます。たまには、のんびりと温泉にでもつかって心も体も癒やされてみたいものです。ところで、痛風に効くという温泉のお話をご存知でしょうか。ここでは、温泉と痛風に関する豆知識をご紹介いたします。日頃のご多忙な合間にちょっとした箸休めとしてご覧になってみてください。

温泉療養

痛風の治療は、尿酸降下薬などの登場により、一昔前と比較するとコントロールが容易になっています。そのうえで生活習慣(食事療法、飲酒制限、運動など)の改善も重要なファクターであることは昔も今も変わりありません。さらに、「温泉療養」も古くからの経験から、長寿の湯、万病に効く湯として、痛風に限らず、さまざまな病気の治療や保養に利用されてきました。

痛風は古くからある病気で、芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519年)、物理学者ニュートン(1643-1727年)、進化論を提唱したダーウィン(1809-1882年)など、多くの著名人も痛風で苦しめられていたようです。文豪として有名なゲーテ(1749-1832年)も痛風を患っており主治医のすすめで湯治をおこなったという記録もあるそうです。

近年においても、温泉による治療も一定の効果を示すという報告も多数みられます。

痛風の温泉療養について科学的裏付けが行われるようになったのは1900年前後のようで、温泉の飲用、浴用における温泉療養の実際の報告1)によると、痛風に精通した医師のいる温泉地で、医師の指導監督のもと年1-2回、2-3週間程度の温泉療養を生活のなかに取り入れて、食事療法、運動なども併せて行うことが勧められています。

また、温泉入浴と尿酸排泄の関連を研究した報告2)によると、尿酸は強い抗酸化作用を持つこと、抗酸化作用を示す多くの物質が還元性を示すこと、温泉水の酸化還元電位(ORP)の変化が温泉効果の老化現象の指標となりうることなどから、温泉水のORPが尿酸排泄能に何らかの影響を及ぼしている可能性を考え、尿中尿酸排泄と温泉水のORPとの関係を検討しています。結果は、水道水に比べORPの低い温泉での長期の入浴が尿酸排泄の増加、血清尿酸値の低下をもたらすことが示唆されています。

温泉法による規定

10種類の泉質(環境省HP温泉の定義、療養泉の泉質分類より引用)

温泉は昭和23(1948)年に施行された温泉法という法律で規定されています。温泉は泉質(温泉に含まれる化学物質の種類と含有量)により10種類に分類されています。
環境省自然環境局長通知(平成26年環自総発第1407012号)によると、「10.放射能泉」の泉質別適応症に、「高尿酸血症(痛風)」が記載されています。放射能泉はラドンを一定量以上含む温泉で、微量の放射能を含む温泉です。放射能泉の適応症(浴用)には、痛風のほかに、関節リウマチや強直性脊椎炎などになります。
科学的には未解明の部分もあるようですが、ラドンやラジウムなどの放射能物質が体内に入ることで、細胞が刺激されて新陳代謝が促進し、免疫力や自然治癒力がアップするというホルミシス効果によって健康になると考えられているようです。

日本における有名な放射能泉に、二股温泉(北海道)、玉川温泉(秋田)、五頭温泉郷(新潟県)、増富温泉(山梨県)、三朝温泉(鳥取県)、有馬温泉(兵庫県)、二丈温泉(福岡県)などがあります。

日本人は温泉が好きです。江戸時代には「温泉番付」といわれる、大相撲の番付に模して作られた温泉地ごとの格付け表も作られています。また、江戸時代に行われた参勤交代により、江戸への街道が整備され、各地に関所が置かれており、道中の箱根などの温泉地が賑わいをみせていたようです。伊勢参りや金毘羅参りなどの行き帰りに温泉地に宿泊することは、今でも変わらないようです。

日本温泉協会のHPには、温泉宿を泉質で検索できるコーナーもございます。お近くの温泉を調べて一度利用されてみてはいかがでしょうか。きっと日頃の溜まったストレスを吹き飛ばしてくれるでしょう。


日本における代表的な放射能泉